私は神の子① ー私は神に望まれて誕生したⅡー

オリジナル小説

溺れてる時にはわらだってつかんじゃう。そんな感じでチラシに書いてあったキリスト教会に行ってみた。
そこでびっくり! 何がって、無償の愛のオンパレードだったから。礼拝というらしいけど、牧師さんの話が、というか聖書の言葉がすごかった。「しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます」とか「どんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません」とか「愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。その炎はすさまじい炎、大水もその愛を消すことはできません」とか「たとえ女たちが忘れても、このわたしはあなたを忘れない。見よ、わたしは掌にあなたを刻んだ」とか。なに?それ、刺青?スゴイ。
私って、愛されてたのね。無条件で。何も出来なくても。どん底でも。命がけで。どこまでも追いかけてくる怒濤の愛で。執念、怒濤、大歓迎!そんなふうに愛されてみたかった。喉から手が出るほど。
神さま、ごめんなさい。私、神さまがいるってことも、愛されてることも、神さまから離れて闇の中をさまよってたってことも知らなかったの。だからこんなに寒くて淋しかったのね。私、帰ります。断然、帰ります。今日、帰ります。どうか私を抱き留めてください!!!
そういうわけで、礼拝一回であっさりと私は悔い改め、親を替えることに決めた。というか、本当の親のところに戻ることにした。
今、私の保護者は天のお父さま。私が両親のところに生まれて来たのも、今までの人生で起こったことも、実はみんな父さまと出会うためのご計画。出来ちゃったろうが邪魔だろうが、関係ない。私は神に望まれて生まれてきたんだから! そりゃあ、世の中の評価は神さまの基準とは違う。顔とか学歴とかキャラとか能力とかでカーストが決まっちゃう。でも、劣等感に捕らわれそうになるたび、私は自分に強く言い聞かせる。「私は神の子。神の評価が私の価値観!」って。もう過去の傷に縛られる必要はないのよ。
木蓮の蕾がもふもふしてきた。来週、私は17。心にも春が来た。(完)

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